◆青木繁「海の幸」記念館・小谷家住宅

1904(明治37)年夏、22歳の青年画家・青木繁は画友の坂本繁二郎・森田恒友・福田たねとともに房州布良(千葉県館山市富崎地区)の小谷家に滞在し、名画≪海の幸≫を描きました。大海原に照りつける熱い陽射し、マグロ延縄漁で活気づいた漁村の風景のなかで描かれたこの絵は、西洋画として日本で最初の重要文化財となりました。
当主の小谷喜録は漁師頭であり、村会議員や帝国水難救済会布良救難所看守長など村の要職を歴任しました。小谷家住宅は、明治20年代の漁村を代表する建造物として評価が高く、2009(平成21)年秋、館山市有形文化財に指定されました。

美術界の聖地として、小谷家住宅を後世に残すため、全国の美術関係者の皆さんNPO法人青木繁「海の幸」会(大村智理事長)とともに5,000万円近い基金を集め、2年の修復工事を経て、2016(平成28)年4月29日に青木繁「海の幸」記念館として公開が始まりました。

さらに、館山市には「ふるさと納税」のなかで「小谷家住宅の保存・活用基金」を指定できる制度があります。ご支援いただける際にはどうぞご利用ください。

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ブロンズ『刻画・海の幸』 ―河正雄コレクション―

青木繁が『海の幸』を製作した1904年のちょうど100年目に、館山市在住の彫刻家・船田正廣氏(長野県上田出身)が同寸大の塑像『海の幸』を製作しました。
記念館の開館に合わせ、韓国財団法人秀林文化財団理事長の河正雄(ハ・ジョンウン)氏のコレクションとしてブロンズ像が製作されました。
戦後70年・日韓国交正常化50周年を記念し、日韓の美術友好交流の架け橋として、韓国財団法人秀林文化財団の寄贈により、下記5施設に設置されました。
・千葉県館山市「小谷家住宅」
・福岡県久留米市の青木繁旧居
・ソウル秀林アートセンター(韓国)
・光州市立美術館分館河正雄美術館(韓国)
・霊岩郡立河正雄美術館(韓国)

2016年3月13日
(除幕式にて=左より秀林文化財団理事長の河正雄氏、
ノーベル賞受賞の大村智氏、彫刻家の船田正廣氏)

 

◆青木繁「海の幸」記念碑

布良・阿由戸の浜には、四角いアーチ型の石柱が立っています。これは、28歳で逝去した青木繁の没後50年を記念して、1962(昭和37)年の館山ユースホステル開業に伴い、当時の田村利男館山市長をはじめ坂本繁二郎、辻永ら画壇の著名人らが発起人に名を連ね、熱心な募金活動によって建立された《海の幸》記念碑です。設計は、ル・コルビジュなどの欧米の現代建築を日本に紹介した東京大学の生田勉教授でした。

ときが流れ、ユースホステルが廃業となった1998(平成10)年、国有地に立つ記念碑は撤去命令を受けましたが、富崎地区コミュニティ委員会や地元区長らの強い熱意により、記念碑はまもられました。

記念碑の正面には伊豆大島、左に利島、新島、式根島、神津島、三宅島…、右方面には伊豆半島、富士山…を見渡すことができます。

布良崎神社からは、2つの鳥居の間に富士山を拝むことができます。

▼YouTube「たてやま歴史建物探訪」
  ~青木繁「海の幸」記念館が紹介されました。


(館山市観光振興補助事業)